8時50分起床。きょうも7時30分過ぎ、家を出る夫に声をかけられたがそのまま起きることができなかった。アラームのスヌーズまで(無意識で)止めて寝ているのに、ちゃんと9時前に目が覚める。
学生時代、当時医学部に在籍していた友人が、どんなに勉強が大変で夜更かししても朝起きたい時間を、例えば「6時、6時……」と唱えながら眠ると必ず起きられると言っていた。数年前にそのことをふと思い出して、ここぞというときにこの手を使っている。私がギリギリ9時前に起きられるのも「9時には起きなければいけない」というマインドコントロールが働いているのかもしれない。
昼食はサッポロ一番の袋焼きそば。細かく刻んだニラを入れてみたけれど、ソース味の焼きそばには合わなかったかも。
午後は社内打ち合わせや、来年の業務のことを考えたりした。直近でやらなければならないと思っていたことを3週間くらい先延ばそう、ということになり、少し気持ちが軽くなった。
hontoで注文した本がポストに届いたようなので、ピックアップしつつコンビニまで散歩してカフェラテやお菓子を買った。17時頃帰宅して本を開いたら止まらなくなり、結局一気読みしてしまった。
19時、簡単な業務だけこなして19時30分に退勤。心が動かされる本は仕事の合間に読むものではないな……。明日から12月だ。また明日からすっきりした気持ちで仕事をがんばろう。
20時30分に夕食。夫が完璧なのり弁を買ってきてくれた。おかずも海苔も醤油も全部が美味しかった。夕食を食べながら、夫が今年の5月に亡くなった同僚Nさんの話をしていた。きょうNさんと行った中華食堂の前を通って思い出したらしい。私がきょう読んだ本と少し通じるところがあって、びっくりした。私と夫にはしばしば、以心伝心のようなスピがある。
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11月26日付の朝刊書評欄で知って、すぐに注文した。恋愛小説はほとんど読まないということもあって、山本文緒さんの本は読んだことが無かった。ただ、昨年末に唯川恵さんが山本さんを回想しているインタビューを読んで、その記事がとても印象に残っていた。
著者は2021年、胃痛や腰痛などの体調不良で病院にかかり、それでもなかなか良くならないので大きな病院で検査をしたところ末期の膵臓癌が見つかった。セカンドオピニオンで宣告された余命は4ヶ月(120日)。この本は、癌が発覚して1ヶ月後から書かれた闘病(逃病)日記だ。
私は今年の夏に「自分は癌かもしれない」という経験をした。手術の結果悪性腫瘍=癌では無いということがわかったが、私が癌でもおかしくなかったし、一方で著者が急性胃炎でもおかしくなかった。うまく言えないけれど、癌じゃなかったこと、癌が発覚すること、癌を克服すること、末期癌で亡くなること、すべて誰にでも起こりうることなのだ。
癌を身近に感じた実体験もあって、3ページ目から涙が溢れてしまった。この日記は私の日記だったかもしれない。著者が夫と2人暮らしで、互いを尊重し思いやる2人の姿もまた、私と私の夫に重なって泣けた。
好きなアーティストのライブ映像を見たり、好きな連載漫画を読んだり、コロナ禍の東京都の感染者数を見たりしながら、「ライブに行くことはできなかったな」「次の単行本発売日には生きていないな」「コロナ明けの世界を見ることはないな」と思う著者。想像しただけで切なくて泣けるけれど、日記は淡々と、時にユーモアも交えて書かれている。さすが作家だな、と思う。
著者も言っていたけれど、死後の世界や来世があるかは私もわからない。でももし、著者の魂が今もどこかにあるのなら、どうか安らかであってほしい。
日記ってやっぱりいいな。